Wixで中国向けWebサイトを作ってはいけない理由(有料プラン編)
前回の記事ではWix無料プランで作ったWebサイトは中国で開けないということを解説しました。
同じく、有料プランであっても中国向けWebサイトは絶対にWixで作ってはいけません。今回はその理由を解説します。
Wix有料プランとは
Wixではプレミアムプランと呼ばれる有料のプランがあり、有料プランにすると独自ドメインが使えたり、Webサイト上部のWixの広告が非表示になります。
料金プランはデータ容量などによって月額900円〜2700円まで何種類かありますが、企業でWebサイトを制作する場合は、有料プランを選択することが多いと思います。
Wix有料プランで作ったWebサイトは中国で開くとどうなるのか?
デフォルトのドメインは開けない
Wixでは無料プラン・有料プランともに、初期設定で○○.wixsite.comというドメインが付与されます。しかし無料プラン編でも解説したとおり、○○.wixsite.comは中国のグレートファイアウォールに遮断されてしまい、開くことができませんので、独自ドメインを使う必要があります。
独自ドメインの場合
では独自ドメインのWebサイトは開けるのでしょうか。
Wixの公式サイトにユーザー作成事例として実際にWix有料プランで作ったWebサイトが紹介されているので、その中からいくつかに中国からアクセスしてみます。
独自ドメインの場合、Webサイトが中国でも開けることがわかります。
名前解決がどのようにされているのか、前回と同様にdigコマンドを使って調べてみます。
;; ANSWER SECTION:
www.f-renobase.com. 3600 IN CNAME www10.wixdns.net.
www10.wixdns.net. 600 IN CNAME gcdn0.wixdns.net.
gcdn0.wixdns.net. 300 IN CNAME td-ccm-168-233.wixdns.net.
td-ccm-168-233.wixdns.net. 3600 IN A 34.117.168.233
日本でも中国でも同じように名前解決がされており、WixのサーバーのIPアドレスが返されています。
一見すると問題は無さそうですが、細かく見ていくとWixで作ったWebサイトは中国でたとえ開けても問題が多いのです。
Wix有料プランで作ったWebサイトは中国で正しく表示されない
Webサイト自体は中国で開けることがわかったWixの独自ドメインサイトですが、実際には様々な問題があります。
ここでは、その一部を解説したいと思います。
アコーディオンが動かない
こちらのサイトでは、コンテンツの詳細部分が折りたためるアコーディオンになっており、+ボタンをクリックすると詳細が表示されます。
しかし中国で開くと+ボタンを押しても何も反応しません。
原因をChromeの検証ツールを使って確認すると、Failed to load resource: net::ERR_CONNECTION_TIMED_OUTというエラーが出ていてjQueryのライブラリが読み込めていないことがわかります。
jQueryとはWebサイトを動かすためのjavascriptのプログラムです。
ソースコードを見てみるとhttps://ajax.googleapis.com/ajax/libs/jquery/3.4.1/jquery.min.jsと記述があり、GoogleのサーバーからjQueryのライブラリを呼び出そうとしていることが分かります。
WixではデフォルトでGoogleのライブラリを呼び出す仕様になっていますが、グレートファイアウォールによってGoogleのAPIはブロックされてしまい、Webサイトが正常に動作しなくなるのです。
表が表示されない
こちらのサイトは、日本では間取り図の下に表が表示されていますが、中国では「Widget Didn’t Load」というエラーメッセージが表示されています。
Wixでは表データはiframeを使って別サイトであるhttps://wix-visual-data.appspot.comからデータを読み込む仕様になっており、中国ではこのドメインに接続できません。
digコマンドを使って調べてみると、157.240.8.50というIPアドレスが返されますが、NetcraftでこのIPアドレスを調べるとFacebookのサーバーだということがわかります。
;; QUESTION SECTION:
;wix-visual-data.appspot.com. IN A
;; ANSWER SECTION:
wix-visual-data.appspot.com. 223 IN A 157.240.8.50
つまり前回と同様、グレートファイアウォールによって偽のIPアドレスが返され、中国ではwix-visual-data.appspot.comのドメインには接続が出来なくなっています。
そのため、表部分の読み込み時にタイムアウトになりWidget Didn’t Loadというエラーメッセージが表示されてしまいます。
これらはほんの一例ですが、Wixで作ったWebサイトは様々な機能をGoogleのライブラリから呼び出したり、中国でブロックされているサーバーからデータを取得するため、Webサイトが正しく動かなかったり、一部が表示されないといったことが起こります。
まとめ
以上、Wixで作ったWebサイトについて無料プラン・有料プランに分けて中国での動作を解説しました。
結論として、無料プランの場合はそもそも開けず、有料プラン(独自ドメイン)の場合も正しく表示されないので、中国向けWebサイトをWixで作ってはいけません。
弊社では独自のノウハウと専門技術をもとに、中国向けに特化したWeb制作を行なっております。
Web制作における日本と中国の違いについて、詳しく知りたい方は下記のリンク先ページもあわせてご覧ください。
参考:中国向けWeb制作のポイント
その他、中国向けWebサイト制作に関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。