中国向けWebサイトは、その特殊性から、制作・運用において専門的な技術や知識が必要です。
日本のWebサイトをただ中国語に翻訳するだけでは、十分にビジネスに活用することはできません。
中国向けWebサイト制作における違いについて、3つのポイントに分けてご紹介します。
ネット環境の違い
日本と中国ではインターネット環境が全く違います。
多くの中国向けWebサイトが、このポイントでつまづいています。
グレートファイアウォール
中国では政府がグレートファイアウォールと呼ばれる検閲システムで、国内からアクセスできるWebサイトをコントロールしています。
たとえば、日本人がよく使っているGoogle、Facebook、Youtube、Amazonといったサービスは中国からはアクセスできません。
そのため、グレートファイアウォールへの対策を取らないと、中国でWebサイトが開けない、表示が遅くなるといった問題が起きます。
通信速度
中国から日本のサーバーへのアクセスは物理的な距離があるため、通信に時間がかかり、表示が遅くなりがちです。
しかし、中国国内でサーバーを借りるためには、現地法人を設立し、ICP登録という中国政府の認可を取得する必要があるため、費用やオペレーションの面で大きなハードルとなっています。
ICP登録無しで、日本のサーバーでも快適な速度での表示を実現するには、サーバーやネットワーク環境の最適化が必要になります。
ライブラリ
jQueryやJSONといったライブラリ(Webサイトを動かすためのプログラム)を中国からアクセス出来ないサーバーから呼び出すとWebサイトが動作しなくなります。
特に、日本の多くのWebサイトがGoogleのライブラリからjQueryやGoogle Fontsの読み込みを行っており、動作不良や表示遅延の原因になるため、注意が必要です。
API(外部サービスの埋め込み)
日本の多くのWebサイトでは、住所にGoogle Mapを埋め込む、商品紹介動画にYoutubeを埋め込む、といった様々な外部サービスが使われています。
しかし、これらのサービスは中国からアクセス出来ないため、外部サービスのAPIを使用することでWebサイトが開けなくなる、もしくは表示が遅延することがあります。
中国向けWebサイトでは、中国からアクセス可能な、同様の機能を持った代替サービスを使う必要があります。
ユーザーの違い
日本と中国ではユーザーの習慣・言語・好みなども違います。
中国ユーザーにとっての使いやすさを意識したWeb制作が重要です。
デバイス
データによると、中国でモバイルでネットに接続している人の割合は99.7%※1となっており、日本の68.5%※2と比較して、その浸透が際立っています。
日本でも多くのWebサイトがスマホ対応になってきていますが、中国向けWebサイトは日本以上にモバイルフレンドリーを意識した制作が重要になります。
※1 CNNIC中国互联网络信息中心調べ(2021)
※2 総務省通信利用動向調査(2021)
ブラウザ
日本では、モバイルブラウザのシェアはSafariとChromeで合計94.3%※1を占めていますが、中国はSafariとChromeのシェア合計は27.5%※2にすぎません。
この2つ以外には、Baidu Browser、QQ Browser、Huawei Browserなど、様々なブラウザが使われており、各ブラウザごとの表示や動作の違いを考慮する必要があります。
※1 网速管家調べ(2020)
※2 StatCounter調べ(2022)
フォント
フォント対策は意外と見落とされがちで、その一番の理由はWebサイトの製作者が日本語OSのデバイスを使っていたり、普段から中国語を見ていないため、この問題に気づきにくいことにあります。
正しい中国語簡体字フォントを設定していないと、不自然なフォントでユーザーが離脱したり、信頼感が無くなってしまうだけでなく、最悪の場合は文字化けしてしまい、全く機能しないWebサイトになってしまいます。
デザイン
デザインはユーザーの印象や、問い合わせ・購入といったコンバージョンに大きく影響しますが、中国ユーザーが好むレイアウト、色使いなどは日本のユーザーとは異なります。
たとえば日本のWebサイトで時々使われている縦書きは、中国ユーザーは違和感を感じるので使わない方がよいでしょう。
また、翻訳すると日本語と文字数が異なるため、改行位置などを考慮したレイアウトの調整が必要になるケースもあります。
運用の違い
制作が終わり運用フェーズに入っても日本と中国ではさまざまな違いがあります。
Webサイトを有効活用するためにも、中国事情に合わせた運用が重要です。
SEO対策
中国ではGoogleが使えません。その代わりにBaidu(百度)という検索サービスがシェア8割※1を占めており、特にモバイルではシェア9割以上とほぼ独占しています。そのため、中国のSEO対策はBaidu対策と言えます。
BaiduとGoogleではランキング上位表示のためのアルゴリズムが異なるため、Baiduを意識したSEO対策を行う必要があります。
ただし、中国の一般ユーザーは日本ほど検索サービスを使いません。そのため、弊社ではBtoCビジネスに関しては、SNSマーケティングのほうが重要と考えています。
※1 StatCounter調べ(2021)
SNSマーケティング
中国の消費者は日本に比べて口コミを重視します。そのため中国でのWebマーケティングにはSNSの活用が欠かせません。
しかし、ネット環境の違いでご説明したとおり、中国では政府の規制によって、日本で一般的に使わているFacebook、Twitter、Instagram、LINEのようなSNSが使えません。
その代わりに中国ではWeChat、Weibo、RED、Douyin(中国版TikTok)といった独自のSNSが普及しています。サービスごとにユーザー層や使用目的も違っていますので、各SNSの特徴やトレンドを理解し、使いこなしていく必要があります。
カスタマーサポート
中国では個人のEメールを使う習慣があまりないため、カスタマーサポートはチャットが基本となっています。そのため、特にECサイトなどのBtoCビジネスではチャットに対応していないと、それだけでユーザーが離脱してしまう可能性があります。
メールと違いチャットは即時性が求められるため、対応する側の負担は増えますが、ユーザーが欲しいと思った瞬間を逃さないために、中国向けWebサイト、特に中国向けECサイトでは必須のツールです。
アクセス解析
中国では基本的にGoogleが使えません。そのため、アクセス解析ツールとして日本で広く使われているGoogle AnalyticsをWebサイトに設置していると、表示の遅延などが起こることがあります。
また、地域や時期によってはGoogle Analyticsでもデータが取れる場合があるようですが、ユーザーのIPアドレスや検索ワードなどの正確な情報を取得出来ないため、中国向けWebサイトではBaidu Analyticsを設置する必要があります。
以上、中国向けWeb制作の基本的なポイントをご紹介させて頂きましたが、この他にも様々な気をつけるべきポイントがあります。
また、ECサイトではそれらに加えて、決済や会員登録フォームなどの違いにも対応する必要があります。
弊社は中国に特化したWebの専門企業として、それらを全て解決出来るソリューションを提供しております。
中国向けWebサイト制作に関して、お困りごと・気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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