ポスト三大都市。今、中国の地方都市がアツイ! -蘇州編-

中国国内で発展している都市は上海などの大都市がどうしてもフォーカスされがちですが、近郊都市や地方都市もあなどれません。
これまでは中国の三大都市と言えば「上海」「北京」「広州」の三都市。しかし、高い経済成長率を維持している地方都市もマーケットとしての魅力は日に日に増しています。今回は急速に発展する地方都市の中で、上海の近郊都市である「蘇州」について取り上げます。

立地と都市の概要

江蘇省の南東部に長江デルタ地域に位置し、江蘇省の経済の中心として栄えています。

蘇州は「東洋のベニス」と呼ばれ、いたるところに運河が流れる観光都市としても有名です。
蘇州古典園林(歴史ある庭園の総称)は世界遺産にも登録され、その中の「拙政園」と「留園」は中国四大名園の二つに数えられています。

そんな歴史的な街である一面、中国最大の経済都市である上海からの距離は約100km。
その立地を活かし、蘇州政府は90年代から工業誘致を積極的に展開。多くの外資企業や商業施設の誘致に成功し、急速に都市化が進みました。
庭園や運河などの歴史情緒ある街並みがある一方、丸の内のような高層ビル群が混在する、2面性を持ち合わせているのが蘇州の特徴です。

基本情報

人口:約1,300万人 
面積:約8,400平方㎞ (広島県、兵庫県と同等)
域内GDP:約13,000億元 (日本円で約221兆円)
一人当たりGDP:18,853ドル(2013年)
※出典:百度百科

人口はなんと、東京都とほぼ同水準。域内GDPは江蘇省の省都である「南京」を大きく上回り、中国全土で6位。
華東地区では上海に次ぐ2位となっています。また、経済成長率は前年比9.8%増と高水準を維持しており、2014年も同水準の成長見込み。
一人当たりのGDPは約1.9万ドル。ちなみに上海は約2万ドルで台湾と同水準となっており、香港が約3万ドルです。

インフラ

新幹線の停車駅としては、蘇州北駅、蘇州駅、蘇州園区駅の3つ。上海から特急に乗車すると約20分で蘇州駅に着きます。
空港については無錫市との共同出資で建設した「蘇南硕放国際空港」があり、東京や大阪への直通便も出ています。
地下鉄は2012年4月に開通した1号線に始まり、現在2号線まで開通しています。直近の契約では6号線の建設計画がたてられています。
タクシーの初乗りは12元(約200円)と安く、地下鉄の本数がまだ少ないため、市民の重要な交通手段の一つとなっています。

代表的な商圏

>観前街商圏

蘇州の中心部に位置する市街地。寺院などの観光地も徒歩圏内のため、観光客も多く集まるエリアです。
多くの観光客で賑わう蘇州料理の「松鶴楼」などの老舗中華料理店もこちらのエリアに多く出店されています。
歩行者天国の一大ショッピングストリートとなっており蘇州で最もにぎやかなエリアといえるでしょう。

>高新区商圏

蘇州の西側に位置する日系企業が400社以上進出しているエリアで、日本人も多く居住しています。
蘇州在住の在留邦人約1万人のうち半数以上がこのエリアに居住すると言われています。
日系スーパーも充実しており、日本人学校もこのエリアにあり、日本人駐在員とっては住みやすいエリアとなっています。
淮海街という日本食レストランや日系スナックが立ち並ぶストリートがあり、日本食好きの地元民が集まるエリアでもあります。

>工業園区

蘇州の東側に位置し、シンガポール政府との共同開発エリアで中国国内唯一の国際政府間プロジェクトとなっています。
外資優遇政策により、有力な外資や優秀な人材獲得に注力しているのが特徴。
ショッピングモールは近代的なデザインが多く、ハイブランドが多く入居するため消費単価はその他の商圏よりも高めとなっています。

代表的な百貨店・ショッピングモール

>蘇州美羅商城(MATRO)

蘇州の中心的なショッピングエリア、観前街に位置しています。蘇州の卸売で有名な函数集団が2003年にオープンした地上6階、地下1階の百貨店です。
2011年時点でグループ売上は39.5億元(約670億円)に達し、前年比約18%増の高成長を遂げました。2011年には蘇州西部の高新区にも出店を果たしています。

>時代広場

2008年にオープンした、工業園区東側に位置する敷地面積21万㎡のモール。アメリカのSWAグループが設計した近代的なデザインが特徴で数棟に分かれています。
地下鉄とも直結しており、水上バスや空中廊下で各棟を移動できます。後述する久光百貨店と隣接しています。

>久光百貨店

上海でトップ3の集客力がある久光百貨店の蘇州店。2009年に工業園区にオープン、敷地面積約17万㎡、地上4階、地下1階となっています。
久光百貨店は香港の利得国際グループと上海の九六グループの合弁。利得グループは香港では「そごう」のフランチャイジーとして有名です。

>泉屋(イズミヤ)

日本のイズミヤの100%出資(資本金4,150万ドル)。2011年に高新区にオープン。
オープン当初は集客に苦戦していましたが、テナントの入れ替えや効果的なプロモーションで今では高新区では最も集客力のあるモールの一つとなっています。
週末は1日2万人以上来店し、9割以上が地元の人となっており、日系モールの成功事例の一つに数えられています。

>永旺夢楽城(イオンモール)

中国で最も勢いのある日系モール、イオンモールの華東地域1号店。蘇州の南に位置する呉中区に2014年4月にオープン。投資金額は約6億元(約100億円)。
日本と同様、郊外型のモールで地上3階、地下1階建て。敷地面積は約11万㎡、150以上のブランドが入居し、3000台以上とめられる駐車場が設置されています。
蘇州市内では他にも工業園区と高新区にそれぞれ2014年、2015年にオープン予定。

まとめ

中国経済の成長率の鈍化が騒がれていますが、中国マーケットを見るのに国単位で語るのはかなり危険と言えます。
地域・都市によって状況が大きく異なるので、実際に進出を検討する際においても都市ごとに情報を追わないとビジネスチャンスを見誤ることも。
実際、蘇州はここ数年約10%の成長率を維持しています。地方都市は上海や北京と比較して競争は激しくなく、賃料などのコストもまだまだ割安です。
これまでは中国進出と言えば三大都市を狙うのが鉄則ではありましたが、ご覧のとおり蘇州のような地方都市のマーケットの魅力は急速に増しています。
特に、小売りやサービス業は競争の激しい三大都市を避けて、まず地方都市から進出というケースも今後増えていくのではないでしょうか。

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