意外と知らない!?中国人の人件費にまつわる4つの事実

中国の人件費が上がっているというニュースをよく見ますが、実際に現在の中国の人件費がどれぐらいなのかなどは意外と知られていないのではないでしょうか。
中国は格差が大きく、地域によっても、仕事内容によっても給与水準が大きく違います。今回は中国の人件費について4つの項目に分けて、おさらいしてみたいと思います。

1.各地域ごとの賃金水準

中国では日本と同じように地域ごとに最低賃金(月額)が決められています。
2014年9月1日時点での都市別最低賃金の上位5位と、下位5位を見てみます。

上位5位
1位 上海市   1,820元(約31,118円)
2位 深セン市  1,808元(約30,913円)
3位 天津市   1,680元(約28,724円)
4位 浙江省   1,650元(約28,211円)
(一部の地域除く) 
5位 北京市   1,560元(約26,672円)

下位5位
1位 広西省    830元(約14,191円)
2位 黒竜江省   850元(約14,533円)
(一部の地域除く) 
3位 安徽省    860元(約14,704円)
(一部の地域除く)
4位 湖北省    900元(約15,388円)
(一部の地域除く)
4位 遼寧省    900元(約15,388円)
(一部の地域除く)

中国人件費上位と下位

全体的な傾向として沿海部は高く、内陸部ほど賃金が安くなっています。
最も高い上海は、最も低い広西省の2倍以上なので、国内の賃金格差が大きいです。

2.実際の給与

上記はあくまで国の定める最低賃金です。実際に支払われる給与はどのぐらいなのでしょうか?これも業種や職位によって大きな開きがあります。

JETROが行った「在アジア日系企業の経営実態調査(2013年度調査)」によれば上海での人件費は製造業の一般ワーカーで3,039元/月(約51,960円)、管理職では9,114元/月(約155,829円)で3倍の開きがあります。さらに非製造業で見ると一般職(事務職)では5,573元/月(約95,286円)、管理職13,692元/月(約234,102円)となっています。

日本ではホワイトカラーの管理職が、製造業作業者の5倍近くの給与をもらっている例は少ないと思いますので、やはり格差が大きいと言えます。さらに経営者となると小さな企業であっても平社員の10倍以上もらっているケースも珍しくありません。

また都市部の労働者は、多くを地方出身者が占めており、上記額面給与以外に会社が住宅を用意したり、食費手当を付けるのが一般的です。他にも中国では副収入を持つ人が多いと言われ、これらは統計上出てきません。そういった事情を考慮すると上海のホワイトカラーの給与は、日本の地方都市とそれほど変わらない水準になってきていると言えます。

上海

3.製造業の人件費が急上昇している背景

中国の人件費の中でも特に製造業の人件費が急上昇している原因の1つに若者の製造業離れがあります。最近は大学まで進学することが一般的になり、毎年700万人以上の大卒者が誕生しますが、彼らの希望するホワイトカラーの仕事では即戦力が求められているため、新卒の就職難が社会問題になっています。
一方で製造業では人手不足に陥っており、都市の一部ではホワイトカラーの新卒と工場作業者の賃金が逆転する現象も起こっています。これも中国が製造業からサービス業へと社会構造が変化している過渡期の現象と言えます。

4.他のアジア諸国との比較

同じくJETROの「在アジア日系企業の経営実態調査(2013年度調査)」のデータを元に、他のアジア諸国との比較を見てみます。

アジアの製造業ワーカー月額賃金アジアの非製造業管理職月額賃金

これを見ると製造業のワーカーで上海はホーチミンの2倍近くの人件費になっており、中国の沿海都市部で単純に安価な労働力を求める時代は終わったと言えるでしょう。

人件費の上昇は国が経済発展していく上で、どの国も必ず通るプロセスです。中国政府は2015年まで毎年人件費を13%上げるとの計画を発表しており、人件費は今後も上がっていくことが予想されますが、一方では市場としての魅力が高まっていくとも言えます。

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